つまらない?『ライオン・キング』(2019実写)・評価&感想を正直に

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『ライオン・キング』(2019)を見たので感想書きます。『ライオン・キング』(1994)は何度か見たことがあって、今回実写版を見る1週間前にディズニーデラックスで久しぶりに見たし、劇団四季版も何度か見たことのある僕のレビューです。

なんというか、『グレイテスト・ショーマン』を見たときと同じような印象を抱きましたね。褒めてないよ。

『ライオン・キング』

あらすじ

アフリカの広大なサバンナで、動物たちの王であるライオンのムファサの子として生まれたシンバは、いつか父のような偉大な王になることを夢見ながら成長していく。しかし、ある時、王位を狙う叔父スカーの策略によって父の命を奪われ、シンバ自身もサバンナを追われてしまう。やがてたどりついた緑豊かなジャングルで、イボイノシシのプンバァとミーアキャットのティモンといった新たな仲間との出会いを得たシンバは、過去を忘れて穏やかに時を過ごしていく。一方、スカーが支配するサバンナは次第に荒れ果て、存続の危機が迫っていた。

映画.comから引用

 

作品情報

言わずと知れたディズニーの名作、『ライオン・キング』の実写版。

また、ジョン・ファブロー監督の最新作である。ジョン・ファブローは『アイアンマン』などで知られる監督で、アベンジャーズシリーズの中に出てくるトニー(アイアンマン)の運転手、ハッピー役としても知られている。

そんなジョン・ファブロー、ディズニー映画では実写版ジャングル・ブックも監督している。地味にアカデミー賞で視覚効果賞を受賞していて観客・批評家ともに評判のいい作品なので、そのつながりで今回も動物関係の実写映画なので担当することになったんだと思います。

『ジャングル・ブック』の成功に加えて、ジョン・ファブローが『ジャングル・ブック』を監督する前に製作した、シェフ 三ツ星フードトラックはじめましたという作品がかなり評価されたのも大きいと思う。この作品は当時、『カウボーイ&エイリアン』や『アイアンマン2』といった超大作映画で失敗したファブローが、自主映画として、主演を兼任してイチからやり直して作ったことで知られている。

やりたいことができずに、オーナーから言われたとおりの個性のない料理を作ったところ、個性がないと批評家からボロクソに言われて嫌気がさしたシェフが、フードトラックから再始動する様を描いた作品で、このシェフと同じく作りたくなかった超大作で失敗した監督はこのインディペンデントな映画で再評価された。

この映画は僕もかなり好きで、自分の好きな映画を100本選べと言われたら多分入れる。この『シェフ』で再出発したファブローも、『シェフ』や『ジャングル・ブック』の成功、製作総指揮を務めるアベンジャーズシリーズが映画史を塗り替える成功をおさめたことなどによって、今のハリウッドを代表するヒットメーカーの一人になっている。

そんなファブローの最新作、『ライオン・キング』は超実写と呼ばれるフルCGが売りで、本物にしか見えない動物たちが歌っている映像の美しさを絶賛する人が多い。そんな『ライオン・キング』の僕の感想を今から書いていきます。

『ライオン・キング』感想

おすすめ度 43/100

これは……。

グレイテスト・ショーマン

『グレイテスト・ショーマン』という映画がある。

2018年に特大ヒットしたので知ってる人のほうが圧倒的に多いと思うけど、僕はこの映画があまり好きではない。

なぜかというと、「あまりにも展開が読める」のに加えて、「ミュージカルシーンが期待を全く超えてこない」からだ。この2つが組み合わさると、面白いと感じなくなる。

バーナムという問題のある人物を肯定的に描くという内容自体問題をはらんでいるので、その物語を凌駕するようなミュージカルシーンがあるのかもしれないと思って見たら、まあまあな出来のものばかり。それなりに音楽と映像はいいけど全く感情に訴えかけてこないような作品だった。そこまで面白いとは思わなかったのにみんな大絶賛してて、「えっ?この程度でみんな面白いと思うの?」って思うような映画だった。

今回見た『ライオン・キング』も、見終えた後は似たような感じになった。

アニメ版と同じ

「あまりにも展開が読める」のに加えて「ミュージカルシーンが期待を全く超えてこない」。見てても何も、エモさ的なものを感じない。「あまりにも展開が読める」理由は明確で、ほとんどアニメ版『ライオン・キング』とストーリーが同じだから。

『アラジン』も同じところが多かったものの、脚本的に現代ナイズされていたり改良されているところがあって、物語を知っていても楽しむことができた。

だけど、『ライオン・キング』の場合はそれがほとんどなかった。ナラがシンバのいる森に行くきっかけ等、なくはないが、『アラジン』に比べて少ない。アニメを見たことがある人にとって既視感のあるストーリーがスクリーン上で展開される。変更点があったとしても、「アニメじゃないと出来ないような表現だから」という理由で変えているようなものばかりだった。

違いは「アニメではない」こと

そして、「ミュージカルシーンが期待を全く超えてこない」

この映画がアニメ版と違うところは、「アニメではないこと」である。アニメではなく、超実写という映像になっている。

アニメ版では感情豊かなシンバたちは、リアルな映像を突き詰めた結果感情を顔に表すことがなくなった。加えて、アニメ版ではあった、音楽を盛り上げる超現実な演出もゼロになっている。

その結果どうなったのかというと、ミュージカルシーンを見てもアニメ版にあったカタルシスがほとんどないのだ。超実写によってアニメで出来た表現を省いており、「あー動物がなんか歌ってるなー」としか思えないようなミュージカルシーンが連続する。

特に『準備をしておけ』(Be Prepared)はひどいもので、煙が吹き出てこない。演出等がほとんどなく、アニメ版や劇団四季版で感じられたゾクゾクとするような感じが皆無になっている。ただスカーがなんとなく歌っただけというか、つぶやいただけみたいなシーンになっていて「もう終わりなの?!」と思ってびっくりした。

こういったミュージカルシーンが続いて他にも、『ハクナ・マタタ』でプンバァが高音を張り上げなかったりなど、総合的に盛り上がりにかける。『アリ王子のお通り』の終盤で、『ノートルダムの鐘』の「トプシー・ターヴィー」的な偏差値の低い(褒めてる)盛り上げアレンジを施した『アラジン』とは大違いである。

『アラジン』のサウンドトラックを最初聞いたときは原曲を魔改造したかのような変化に驚いたものの、聞き続けていると中毒性があるし映画ともマッチしていた。だけど『ライオン・キング』の場合は、もとの楽曲や劇団四季・ブロードウェイ版のほうがどう考えても完成度が高い。

もとのアニメや劇団四季のミュージカルを全く超えてこないミュージカルってどうなの?って思いました。

まとめ

一言でいうと、魔法の世界を描いてきたディズニーがリアルな映像を追求した結果、元の作品にあった魔法がごっそり削られてしまったような作品です。

この映画を成立させるのってかなり難しいと思うんですよ。リアルな映像を追求して、カタルシスのあるミュージカルシーンを作るのって、人間ならまだしも動物たちが主人公だと不可能だと思うんですよ。その結果、試行錯誤して生まれたものだと思うんですが、やっぱりアニメ版の出来や劇団四季などのほうが、得られるカタルシスはどう考えても上でした。

アニメでできた感情の表現が皆無になっていて、リアルさを追求した結果、そこまで鳥肌の立たないミュージカルシーンが続く。それでいて物語面でもほとんど変化がないので、正直、見なくてもいいかなと思ってしまった作品です。

作るのに苦労したんでしょうが、なんというか、ジョン・ファブローにはもう一度フードトラックからやり直してほしいなあと思いました笑

The Lion King
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