『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』途中からガンガンネタバレ込みで感想|作品の評価と合わせてみたい5本の映画

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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』をドルビーシネマにて鑑賞した。

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評価のかなり高い作品だけど、レイティング的に不安に思っていた。PG12?あのタランティーノが?しかも理由は「簡潔な薬物使用の描写」?刺激の強い殺傷・出血とかじゃないの?『ジャッキー・ブラウン』みたいな映画なのか?
と思ってそこまでアクション面に期待せずに見に行ったら結構バイオレント。なのにグロ耐性なくても見れそうな感じでかなり良かったです。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

あらすじ

昔々、ハリウッドで……。

テレビ俳優として人気のピークを過ぎ、映画スターへの転身を目指すリック・ダルトンと、リックを支える付き人でスタントマンのクリス・ブース。目まぐるしく変化するエンタテインメント業界で生き抜くことに神経をすり減らすリックと、対照的にいつも自分らしさを失わないクリフだったが、2人は固い友情で結ばれていた。そんなある日、リックの暮らす家の隣に、時代の寵児ロマン・ポランスキー監督と、その妻で新進女優のシャロン・テートが引っ越してくる。今まさに光り輝いているポランスキー夫妻を目の当たりにしたリックは、自分も俳優として再び輝くため、イタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演することを決意する。やがて1969年8月9日、彼らの人生を巻き込み映画史を塗り替える事件が発生する。

映画.comから引用

作品情報

本作をシャロン・テートのことを知らずに見に行くやつなんているんだろうか。まあレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットがW出演なので映画を見ない層も見に行きそうな感はあるが。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』はタランティーノ監督が近年よく製作する復讐劇の最新作だ。タランティーノといえば『レザボア・ドッグス』『パルプ・フィクション』などで知られる監督だが、最近は復讐を題材に扱ったエンタテイメントをよく作っている。

『イングロリアス・バスターズ』ではユダヤ人がナチスを殲滅し、『ジャンゴ 繋がれざるもの』では黒人奴隷が南部のバカな白人牧場主を皆殺しにした。そして本作、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の題材はシャロン・テート殺害事件だ。

シャロン・テート殺害事件は、ロマン・ポランスキー監督(※1)夫人で、当時妊娠していた女優、シャロン・テートが、狂信的なカルト集団の教祖チャールズ・マンソンの信奉者3人に殺されるという事件。この事件は当時センセーショナルに報じられ、2017年にチャールズ・マンソンが獄中死したときも割と話題になった。

そのシャロン・テート殺害事件をテーマにした本作だが、観客の予想を超えるというかまあ、期待通りといったような展開をする。というかそれ以外考えられない。要は『イングロリアス・バスターズ』的な展開をする。

作品の評価は概ね好評。賛否両論と書いている記事もあるが、85%くらい賛で否は少数派だと思う。カンヌで公開されたときあたりはほとんど絶賛で、『マッドマックス 怒りのデスロード』レベルの評価をされていた。今はちょっと落ち着いてきたけど、それでも評判がいいのに変わりはない。そもそも、欧米で高い評価を受けているタランティーノの最新作なので、かなり注目を浴びている。

ただ、シャロン・テート殺害事件のことを知らないとなんのこっちゃわからないので、そういった人がなんのこっちゃわからないと言ってる印象。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』感想

おすすめ度 86/100

もう161分も経ったの?!と感じる、あまりにも楽しくて濃密な2時間半。
え?嘘でしょ?としか思えない体験をしたのは久しぶりでしたね。これ以上上映時間あってもトイレ我慢できないだろうけど。

かつてないブロマンス

この映画の主要人物は3人。

主人公の落ち目のスター、リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)。その相棒クリフ・ブース(ブラッド・ピット)。そしてシャロン・テート(マーゴット・ロビー)だ。

リックとクリフは固い絆で結ばれていて、相思相愛。その様を見るだけでも楽しめる。要は、ディカプリオとブラピという超豪華なブロマンスを堪能できるのだ。

もはやこのシーンなんてリックのイマジナリー・フレンド(※2)にしか見えない。

落ち目のリックはイタリアに行ってマカロニ・ウエスタンに出演することを勧められるも乗り気でない。会う人に過去の出演作、『マクラスキー14の拳』のことを褒められたりなどするが、落ちぶれた現状にへこたれている。

この『マクラスキー14の拳』のナチスに対して火炎放射器をぶっ放すシーンは、昨年のリバイバル上映が記憶に新しい『追想』を彷彿とさせ、かつタランティーノの代表作である『イングロリアス・バスターズ』のことも思い出させる。そんな『イングロリアス・バスターズ』の主演、ブラッド・ピットは本作では一見脇役的なポジションで、リック・ダルトンの相棒、クリフ・ブースを演じている。とにかくリックを支えるクリフ。もうこの2人のブロマンスがとにかく楽しい。

この映画の見せ所はどう考えてもラストなのに、ラスト前の2時間20分程度、何も退屈することがない。あっという間にすぎてしまう。それくらい心地よい。

そして魔法のようなエンディングへと突き進む。このラスト13分がかなり楽しいけど、その前の時点でも全然時間を感じさせないつくりになっていて驚いた。2時間半以上ある映画をここまで短く感じたのは久しぶりだった。

シャロン・テートという光

リックとクリフの物語の合間に、シャロン・テートの様子も描かれる。

本作では、犠牲者のイメージの強いシャロン・テートという人物を完全に蘇らせることに特化していた。リック・ダルトン邸の隣人だが、リックの家の屋根の上に登って存在が確認できる、天の上の光のような存在だ。

映画館に赴き自分の出演映画を鑑賞するシーンがあるが、シャロンのコメディエンヌっぷりに会場は笑いに包まれる。このようなシーンが、主演のリック&クリフシークエンスに挟まれる。この映画全体、シャロンが思い悩んだり恥をかいたりするシーンはない。シャロン・テートは光を象徴する女神なのだ。

だが、リック・クリフ・シャロンの3人の物語が進む中で、チャールズ・マンソンの暗い影も見え隠れする。彼女はどうなるのか。はたまた、リックとクリフはどうなるのか。

次からネタバレ込みで書いていきます。その前にワンハリを見るうえで予習復習によさげな作品をまとめてみた。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の予習復習に見るべき映画5選

ネタバレ前に『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』をより楽しめる5作について考えてみた。最後の2つはまだ見れてませんが、かなり関連する作品です。僕も近々見ようと思います。ワンハリをより楽しむ5本の映画。

イングロリアス・バスターズ

1941年、ナチス占領下のフランスの田舎町で家族を虐殺されたユダヤ人のショシャナは、フランスで映画館館主となり、ナチスへの復讐を誓っていた。一方、イングロリアス・バスターズと呼ばれるレイン中尉率いる連合軍の極秘部隊は、ナチス兵を血祭りにあげていた。

タランティーノの代表作でブラピと初タッグを組み、ナチスを殲滅するユダヤ人たちを描いた作品。『マクラスキー14の拳』の元ネタのひとつだろう。

Hulu(2週間無料)で見れます(2019年9月現在)

追想

医師のジュリアンは、連合軍の反撃による混乱を予感して、妻子を田舎の古城に疎開させる。だが数日後、城を訪れた彼の前にひろがっていたのは、惨殺された妻子の姿だった。怒りが頂点に達したジュリアンは城に残っているナチス相手に、一人で復讐する。

『マクラスキー14の拳』の元ネタ。愛する人を奪ったナチスに復讐する一人の男の物語。火炎放射器が印象的な作品。

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大脱走

第二次世界大戦中のドイツが舞台。ドイツ軍は脱走常習者ばかりを集めた脱走不可能な収容所、ルフト北捕虜収容所を作る。だが、そこに18回脱獄してもへこたれないアメリカ兵、ヒルツがやってくる。

作中にも出てくるスティーブ・マックイーンの代表作。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を見ればなぜこの映画を見ておいたほうが楽しめるのかがわかります。

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さすらいのガンマン

あるインディアンの集落が突然、ダンカン率いる盗賊一味の襲撃を受ける。住民はことごとく殺害されてしまい、生き残ったのは、ジョーという腕のたつ若者一人だけだった。ジョーは家族の仇であるダンカン一味を追うが、たどり着いた町で盗賊一味が列車強盗を計画している事を知る。

リック・ダルトンのモデルになったバート・レイノルズ(※3)が、セルジオ・コルブッチと組んだマカロニ・ウエスタン。これもワンハリを見ればわかる。

サイレンサー 第4弾 破壊部隊

デンマークで10億ドルの金塊を積んだ列車が強奪された!世界の経済破綻の危機を回避すべく、ICEはただちにマット・ヘルムをコペンハーゲンに送り込む。制限時間は到着から48時間ー。自らを旅行案内係と称するフレヤと共に黒幕を暴き出すが、敵も手強い二人の美人暗殺者を放ってきた。果たしてマットは無事に金塊を取り戻すことができるのか!?

シャロン・テート出演作で、ワンハリ中でも何度も出てくる作品。そして、武術指導としてブルース・リーも参加した作品。Amazonで199円レンタルできるということを知ったので近々見ます。

サイレンサー 第4弾 破壊部隊(Amazon)

※1ロマン・ポランスキー監督・・・当時『ローズマリーの赤ちゃん』で注目を浴びていたポーランドの監督。その他有名な作品は『チャイナタウン』『テス』など。世間的に最も有名な監督作はおそらく『戦場のピアニスト』。

※2イマジナリー・フレンド・・・空想で作られた脳内にいる友人。e.g.)子供に話しかけられるぬいぐるみ

※3バート・レイノルズ・・・ハリウッドの俳優で、代表作は『脱出』『ロンゲスト・ヤード』など。リック・ダルトンのモデルと言われている人物で、共通点が多い。本作でも、とあるシーンに出演する予定だったが撮影前に逝去。そのシーンに関してはネタバレ込みのところで書きます。

じゃ、そろぼちネタバレ込みで語ります。

 

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ネタバレ込みで

すいません。書いてたら熱くなりすぎて完全ネタバレしちゃった!まだ見てない人は絶対に見ないで!

 

 

 

 

 

 

作中で完璧すぎるクリフことブラピ。あまりにも超現実すぎてリックのイマジナリー・フレンドかのように思える存在なので、こいつ中盤で殺されてもおかしくないなと思ってヒヤヒヤしながら見る。『ジャンゴ 繋がれざるもの』もそんな展開するし。

中盤、かつての職場のスパーン映画の牧場を訪ねたクリフは、周囲のヒッピーたちの反対を遮り、盲目の元スターに挨拶する。

このシーンのヒッピーたちの殺気が半端なく、明らかにマンソン・ファミリーなので殺されないか心配していた。

そもそもなぜこのような危険を犯してまで「盲目のスターに挨拶」しようとしたのかという点に関しては、「光が見えなくなった現実のハリウッドを象徴しているから」という理由だと思う。
ブルース・ダーンが演じるこのスターはもともと、リック・ダルトンのモデルと言われているバート・レイノルズが演じる予定だったと言われている。現実のハリウッドのレジェンドに対して、わざわざ敬意を表しに行ったのではないか。

「シャロン・テート」という光と盲目の「バート・レイノルズ」。シャロン・テートという光は、現実には途切れてしまう。その明かりが見えなくなったハリウッドで、レジェンドとして実際に生きていた人物に敬意を払いに、わざわざ挨拶しに行ったのではないか。と僕は思っている。

挨拶が終わり、ヒッピーたちの殺気を感じて帰路につくクリフは嫌がらせされたヒッピーを半殺しにする。ブラピが強い!

それから半年後、終盤、このヒッピー集団のうち3人がリック・ダルトンの家周辺にやってくる。シャロン・テート殺害事件の再現である。

凶悪集団がやってくる中リックとクリフは酔いつぶれていた。リックはマンソン・ファミリーの車の轟音にクレームを言い、クリフはラリった状態で犬の散歩に行く。大丈夫か……。この2人のうちどっちか死なない?

と思っていたらどっちも死ななかった!ラリったクリフに刃物を向ける3人組。しっかりと訓練されたクリフの愛犬は獰猛に足に噛みつき、挙句の果てに男のチ○コも攻撃。続いて二人目にはクリフが犬の餌の缶詰をすごい勢いでぶつけて顔をむちゃくちゃにする。そういえばこいつ、あのブルース・リーをも超える戦闘力を持つ男だった。
ヘッドホンで音楽を聞きながらプールにいたリックはキ○ガイのように暴れる刃物女がプールに乱入してきて大慌て。

リックは物置に武器を取りに行く。火炎放射器!出ました!伏線回収!

そうして「カリッカリに」ヒッピーを焼き殺し、シャロン・テートは無事というマジカルエンド。最高!

という映画でした。面白かったね!

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