※この記事は映画祭の発表時に書かれた記事です。ファイナルのラインナップについて知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
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午前十時の映画祭が10年目の2019年に終了するらしい。
午前十時の映画祭の終了
運営の継続が厳しいとの理由で、来年で終わるそうだ。そもそも僕と周りの同世代の人でこのイベントに行ったことのある人はほとんどいないような気がするし、しょうがないと思うのだが、非常に残念だ。
このイベントに行かなければここまで映画に詳しくなれなかったと思う。学生は500円で見れるため、ほとんど見に行ってた。ほんとにいいイベントでしたね。この映画祭に行かなければ西部劇の面白さもわからなかったし、4時間くらいある「ベン・ハー」のような作品は見る気が起こらず、未だに見ていなかっただろう。
この手のイベントの弱み
この映画祭のメリットは、全国的にスケールの大きな催しであるため、地方都市でもやっているというところ。
だが、田舎に住んでいる人にとって、ものすごく見に行きづらかった。関西にいたときは行動範囲に2つ上映劇場があったため気軽に行けたが、実家に帰ったときは博多に遠征して見に行くしかなかった。
またこういったリバイバル上映は、近くの映画館でやってくれない限り、すげえ見たいと思うような作品でなければ見に行く気が起こらない。
イオンシネマでもシネフィルセレクションという似たような取り組みが行われていたが、すげえ見たいと思えるような作品じゃない限り行く気が起こらなかった。
見に行ったのは、見たことあるジャック・タチ作品の中で唯一DVDでしか見たことがなかった「ぼくの伯父さん」と未見の「アンダーグラウンド」だけだった。(僕が見たことのある「ぼくの伯父さん」以外のジャック・タチ作品、「ぼくの伯父さんの休暇」「トラフィック」「プレイタイム」は三作ともリバイバル上映のジャック・タチ映画祭で見た)
ジャック・タチ「ぼくの伯父さん」【Blu-ray】/COXM-1110
この二つの作品は、昔からスクリーンで見てみたかったものすごく好きな作品と、スクリーンでなかなか見る機会がないと思って楽しみにしていた大作だ。しかし、それ以外の作品はあまり見る気が起こらなかった。行きつけの映画館よりも若干遠く、そのうえ朝の9時くらいからしかやっていないからだ。午前十時の映画祭が早すぎるとか言ってる人もいるが、どう考えてもイオンシネマのほうがやばい。
個人的にスクリーンでなかなかお目にかかれないような超大作を見たかった。そのためシネフィルセレクションで見た「アンダーグラウンド」はものすごく感銘を受けたし、ほんとにスクリーンで見れてよかった。
でも、それ以外の作品はいつでも見れるようなものが多かった。あくまで個人的にだが、いいラインナップだとはいえなかった。
どんな映画祭が求められるのか
ではどんな映画祭なら需要があるんだろうか。
レアな名作映画だけ、一年ゆっくりかけて上映したらどうだろう。
例えば名作なのに長らくDVDが出ていなかった作品とかを1年かけてゆっくり上映するみたいな企画をやってほしいですね。「セレブレーション」とか。あと有名監督の作品なのに日本未公開のものとか、そういう系の作品を復刻シネマライブラリーとコラボして上映してほしいなあ。
あと午前十時の映画祭でラインナップから漏れた作品や、カルト映画を集めた映画祭をやってほしい。
カルトといっても、キネマ旬報的なものさしのもので、世間ではA級だったり映画秘宝などで絶賛されている作品だ。
たとえば「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」「ゾンビ」「ファントム・オブ・パラダイス」「サスペリア」「グッドフェローズ」「ファイト・クラブ」「ホット・ファズ」など、こういった作品を上映する映画祭を、夕方くらいからやってほしいなあ。
あとミニシアター系とか映画史に残る名作で、紀伊國屋書店とかアイ・ヴィー・シーから発売されているような作品とかをメインにしたものとかも、やってほしいですね。
映画の勉強で見たい作品とか集めたやつ。タルコフスキーとかアンゲロプロスの作品みたいなの、なかなか見る気が起こらないから。
とかいろいろ考えてしまう。似たような映画祭が全国的に行われたらいいのになあと思ってしまった。
アンケートもやってるぞ
午前十時の映画祭ファイナルでは、希望上映作品に関してのアンケートをやっている。(終了しました)
最後の年なので、見たいと思う作品をみんなで決めることができる。一人一票なので、まだやってない方はぜひともやっておいてほしい。
スクリーンで超見たいという作品が特にない人は、ぜひともこの作品に投票してほしい。
「何に投票すべきなんだろう」と思っているのならば、この作品。
- シベールの日曜日
- 友だちのうちはどこ?
- 青い凧
- 探偵/スルース
- 非情城市
なんでなのか。名作なのにかなりレアな作品と、未レンタルの作品だからだ。
「友だちのうちはどこ?」に関しては、「クローズ・アップ」のBlu-rayが今年発売されたので、アッバス・キアロスタミの代表作である本作はおそらくいずれBlu-ray化されると思われる。だが、今はプレミアがついており見るのが困難だ。
友だちのうちはどこ?ニューマスター版 Blu-ray/TCBD-0793
「シベールの日曜日」はいつ再販されるかわからない。Blu-rayが発売されたものの廃盤になっていてプレミアがついている。名作映画として有名なのでかなり気になっている。
5作の中でかなりレアな作品が「青い凧」と「探偵スルース」。VHSでしか発売されていない。特に「探偵スルース」はものすごく評判がよくなかなかの衝撃作らしい。復刻シネマライブラリーのTwitterでリクエストした人を何人か見かけたけど、そのリクエストのツイートに、版権元がわからず発売が難しいとリプライがついていた。そのため、この映画は長らく上映・販売されないかと思っていた。
だが、このアンケートに載っているということは、上映できる可能性が極めて高いのではないか、と思ったのだ。
このアンケートに入っている作品は掲示板に寄せられたリクエストコーナーを基にしている。また、「探偵スルース」を掲示板に書いたのは僕だ。一緒に「トム・ジョーンズの華麗な冒険」とかも書いたがこの作品は入っていない。おそらくこの作品は上映が難しいからだろう。となると、「探偵スルース」は上映可能ということか?
と思えてくるのだ。これは絶対に上映してほしい。多数の票を集めるのはかなり厳しいと思うが、頑張ってほしい。
「青い凧」は見れたらいいなーって感じですね。今年福岡市総合図書館で見た同監督の「盗馬賊」が結構良かったんで。「非情城市」はレンタルされてないけど、プレミア化しているわけでもなさそうなので、お金払えば普通に見れそう。
僕が知らないだけで、多分そういった類の作品は他にもアンケートに含まれている。逐一チェックしたほうがいい。
僕はこれらの作品と、超見たいと思ってた「時計じかけのオレンジ」をリクエストしました。でも、書いてて思ったけど「時計じかけのオレンジ」スクリーンで見たことあるなあ。他の作品にすればよかったかも。
これからはアバック座でセルフ午前十時の映画祭か
これから名画を集中して見るにはどうすればいいのだろう。初見は集中してスクリーンでみたいという作品が僕の場合結構ある。考えられる手段に、ホームシアターを作って見る&貸し切りホームシアターを使うというものがある。
前者はかなりハードルが高そうだが後者なら気軽にできる。近くにあるならば、アバック座を使えばいい。
「アバック座 評判」や「貸し切りホームシアター」というワードで地味に公式に次いで2位をとってる本ブログ(2018年10月現在)では、これからもアバック座を激推しする。ステマとかじゃないけども。お金はもらってないです。お金くれるんならください笑
先月、BSで録画してた「二十四時間の情事」「マルタの鷹」「黄金」のBlu-rayを持っていって見た。期待通り大画面大音量で、かなり集中して見ることができた。なかなか見る気の起こらない作品だったんでよかったですね。特に「二十四時間の情事」はアート映画なので、テレビで見てたら絶対挫折してたな。
まず最初にアラン・レネの「二十四時間の情事」を鑑賞。
ほんとはデビッド・リーンの「逢びき」を鑑賞する予定だったんですけど、ディスクを再生したら一緒に入れていたこれが自動的に流れたんですよね。で、そのままタブレットの操作方法を調べながら再生してたんですけど、あまりにも重低音がすごくて「時間もったいないし、もうこれ見るか」って感じで流してました。
重低音もすごかったけど、映像美が素晴らしい作品でしたね。スクリーンで見るために作られた作品だなあという印象が強く、絶対テレビでなんとなく見てもその凄さはわからない。
難解な作品かと思いきやどんどん置いてけぼりになるような作品ではなく、混乱せずに見ることができました。ちょっと見るのに根気がいる作品だったんで見れてよかった。
続けてジョン・ヒューストンの「マルタの鷹」「黄金」を続けて鑑賞。よかったですよ。特に後者が好きですけど、集中して見ることができました。午前十時の映画祭で「いい映画見たなあ」って思いながら劇場を後にする感じになりましたね。
16:9ではない昔の映画のサイズでも、めちゃくちゃでかい画面で見れるのでいいですよ。
今回はスクリーン2で見たんですけど、一人用のリクライニングチェアから、二人座れるソファにアップグレード。カウチポテト状態で見ることができた。最高。ほんとに居心地がよすぎる。値段相応のアップグレードだった。
これからは午前十時の映画祭の代わりにアバック座でセルフ午前十時の映画祭をするんだろうなあ。
ステマとかじゃないですけど。そうなんだろうなあと思いました。
ホームシアターの設備をゆっくり揃えていくっていう手もあるけど。これから居住先を転々とする生活をするつもりなので厳しい。
ノマドスタイルの映画好きにはアバック座がおすすめです。
ただ、こういった映画祭が当分行われないのならば、上映されてるからなんとなく見に行った作品に衝撃を受けるみたいな体験がほとんどなくなるだろうなあ。それがちょっと残念ですね。