※(2022年追記)福岡国際映画祭は終了しました。
2019年の9月13日から19日に、福岡の名物映画イベント、福岡国際映画祭が行われる。
毎年9月に行われているイベントで、上映される作品は、アジア映画の新作や旧作のリバイバルだ。僕は昨年初めて行ったが、かなりいいイベントだったので、今年も参戦する気でチケットを購入している。そんな福岡国際映画祭の魅力について、今から書いていきます。
福岡国際映画祭とは
アジアフォーカス・福岡国際映画祭は1991年から始まったイベントで、キャナルシティのシネコン、ユナイテッドシネマキャナル13で行われている映画祭だ。
「福岡から優れたアジア映画を世界に発信し、新しい才能を発見、育成する」目的のもと行われており、注目されているアジアの優秀な作品が集っている。
日本初公開の作品も多数あり、日本人だけでなく各国からの観客に対応できるように日本語字幕と英語字幕の両方が付けられるのも特徴。
上映作品の選定は、映画祭のディレクターが事務局スタッフとともに実際にアジア各地に赴いていて、現地調査を行っているそうだ。
また作品を上映する際、監督・主演者等をゲストとして招待し、会場でのデスカッションを行ったりなどして、市民との交流を図ったりもしている。福岡在住の映画好きなら絶対に一度は行っておくべき映画祭だ。
レア度が高い良作・公開前の傑作を一足先に見れるチャンス
この映画祭、僕は昨年初めて興味本位で行ってみたが、期待以上にいいイベントで、少なくとも福岡に住んでいるうちは毎年通おうと思ったくらいには、福岡の映画好きが行くべき映画祭だった。
福岡国際映画祭ではアジアの良作をメインに上映しているが、この名作率が結構高い。アート映画だけでなく、誰が見ても楽しめるような娯楽性の高い映画の率も高くて、「見に行ってよかったー」と思えるような映画が多い。
そしてこういった映画のほとんどが、日本で劇場公開されない。僕が昨年の映画祭で見た『大仏+』はアカデミー賞外国語映画賞台湾代表で、良質な社会風刺コメディ映画だったが、現時点では日本で劇場公開もDVD発売も配信もされていない。かなり面白かったので見返したいと思うけど、現時点で、日本語字幕付きで見返す方法はない。
あと昨年の映画祭で上映されて見る予定だったものの見れなくて、運良く今年福岡総合図書館で上映してくれたので見ることができた『バスは夜を走る』も度肝を抜かされるような紛争ものサスペンス映画だった。
この映画はインドネシア映画祭で最優秀賞を受賞した秀作で、日本で劇場公開しても口コミ効果で十分ヒットが見込めるような作品だったが、劇場公開されておらず現時点で見る方法は少ない。そういった映画も見ることができる映画祭だ。
▷ 割とレアな映画も上映してくれる福岡市総合図書館ミニシアターの映画館情報
よくわからない場合は観客賞だけでも見ておく
ただこの映画祭、アジアの映画に関して全く知識のない人が行っても何を見ればいいのかがわかりづらい。それなりに映画が好きだったとしても、フィリピンやマレーシアの名監督に関して、網羅的に知ってる人はあまりいないだろう。
なので、この映画祭で一番見るべき作品は何なのかが、分かりづらい。
2019年の東京国際映画祭だと『男はつらいよ』最新作だとか『アイリッシュマン』だとか『海辺の映画館 キネマの玉手箱』が注目作品だというのは、映画好きならなんとなくわかるけど、福岡国際映画祭に関しては、日本で劇場未公開のアジア映画に関してほとんど触れていない人がラインナップを見てもよくわからない。
ラインナップを見てもよくわからない人は、とりあえず「福岡観客賞」だけは注目しておくのがおすすめ。
この映画祭では、観客の投票により受賞作品を決める「福岡観客賞」を設けている。
この観客賞、良作率が半端ない。ただでさえ面白い映画がプログラムに多いのに、そういった作品の中で、投票で観客が1位を選んだものが面白くないわけがない。
過去の受賞作は、有名どころで言うと、
『バッド・ジーニアス(頭脳ゲーム)』(2017)
『小さな園の大きな奇跡』(2015)
『別離』(2012)
などがある。
こういった日本でも人気の高い良質なアジア映画が受賞しており、劇場公開される1年前くらいに先取りして見ることができる。
特に『バッド・ジーニアス』に関しては僕は2018年に見た映画ベスト3位に選ぶくらい好きな作品だったので、なぜ2017年に福岡で見れるチャンスがあったのに行かなかったのかと、後悔した。
あと、こういった名作揃いの福岡観客賞受賞作にも、先述の日本で劇場公開されない映画が結構ある。そして言わずもがなそういった作品も面白いものが多い。
僕が昨年シネラ(福岡市総合図書館ミニシアター)で見たベトナム映画に『アオザイ』という観客賞受賞作があるが、劇場公開されていない。昔のハリウッド映画のような鮮やかな映像美で昔のベトナムを描いたかなり良質な作品だったのに、日本で見るチャンスは少ない。
あと、2015年に観客賞を受賞した『小さな園の大きな奇跡』は劇場公開されたものの、DVDが発売されていないし配信もされていない。(この作品も僕はシネラで見た)
こういった映画を見るには、チャンスを狙って上映しているミニシアターを見つけて見に行くしかない。福岡国際映画祭は今後お目にかかるかわからないような良質な映画を手っ取り早く見れるチャンスなのだ。
「福岡観客賞」は映画祭の中盤に発表されるので、発表された後も見るチャンスが1度ある。なので、ちょっとニッチな良作に出会いたいなーと思っている人はぜひとも観客賞だけでも見に行ってみてください。