『イカボードとトード氏』感想・評価|ハロウィンに見たいディズニー激レア映画

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※6/11以降、Disney DELUXE(ディズニーデラックス)はDisney+ (ディズニープラス)へと移行します。

ディズニー作品で日本で見るのが最も難しかった長編アニメーション作品、『イカボードとトード氏』が、ディズニーデラックス、現Disney+(ディズニープラス)で配信されたので見てみた。

日本ではVHSすら発売されていない作品だったので、いずれ輸入盤ブルーレイを購入して見ようと思っていたけどもう買う必要がなくなった。『リラクタント・ドラゴン』も配信されたし、『南部の唄』と『空軍力の勝利』以外の作品はすべてディズニーデラックスで配信されるんじゃなかろうか。すごい時代になったもんだ。

『イカボードとトード氏』作品情報・見る方法

ADVENTURES OF ICHABOD & MR TOAD

The Adventures of Ichabod and Mr. Toad(輸入盤)

『イカボードとトード氏』は1949年のディズニー長編アニメーション。だいぶ初期の作品だ。

2つの話のオムニバスムービーで、「イカボード」が主人公の『スリーピー・ホロウの伝説』と「トード氏」が主人公の『たのしい川べ』という、2つの短編文学を元にしたアニメーションだ。順番は逆。まず『たのしい川べ』から始まって、次に『スリーピー・ホロウの伝説』という順番。割と初期ディズニーの中ではマスターピースとされている作品だが、日本でDVDはおろかVHSですら発売されていない。

厳密に言うと、イカボードの話だけ切り取られてメディア化していて、DVDでも『ミッキーの王子と少年』の中に収録されている。

だが、トード氏の話に関してはメディア化されていない。ディズニー・チャンネルで数回放送されったきりで、日本語で視聴するのが極めて難しいレアな作品だった。そのため日本で2本連続で見れる機会など皆無だった。ダジャレじゃないです。

だが今回ディズニーデラックスが配信してくれたので見ることができた。まさか2019年に日本語で見れるとは思いもしなかったのでほんとにびっくりした。

原作について

この2つの文学、『スリーピー・ホロウの伝説』、『たのしい川べ』に関して触れておくとどちらも日本語で読むことができる。『スリーピー・ホロウの伝説』はイカボッドの物語として、『リップとイカボッドの物語』の中に入っている。

特に『スリーピー・ホロウの伝説』は知名度が高く、ワシントン・アーヴィングの作品では最も有名な『リップ・ヴァン・ウィンクル』(『リップとイカボッドの話』のリップ)の次に有名な作品といって異論はないだろう。ティム・バートン監督の『スリーピー・ホロウ』もかなりメジャーな映画なので、日本でも知名度は高い。対してトード氏の『たのしい川べ』は知名度が低い。

映画も原作も、イカボードの話のほうが日本では圧倒的に有名であり、評判もいい。なのでトード氏はおまけのような感じで見ていた。だが思いの外、個人的にトード氏の話のほうがすきだった。

『イカボードとトード氏』感想

怖い話として有名な作品だが、意外にもわちゃわちゃとしたドタバタ演出の楽しい作品だった。

2つの物語の主人公、イカボードとトード氏の共通点は、2人とも欲望に忠実なゲス野郎ということ。トード氏は自動車に釘付けになりなんとでも手に入れようとする物欲にまみれたヒキガエルで、イカボードは一目惚れしたヒロインのカロリーナと、彼女の父親が持つ遺産をなんとも手に入れようと恋敵を蹴落とす。

ベクトル的には2つとも全く一緒の作品だ。途中まではね。

トード氏『たのしい川べ』

親から譲り受けた資産で遊んでばかりいる散財野郎、Mr.トードは、自動車をひと目みて釘付けに。それから自動車にとりつかれた彼は、イカした自動車を見つけ、所有主のイタチ軍団と交渉しゲットする。だがイタチ軍団たちはトード氏をはめ、トードは車を奪った泥棒にされ、監獄にブチこまれる。

トードは監獄から脱獄し、無罪の証明をするためにイタチ軍団のアジトと化したトードの豪邸に乗り込み、交渉の際発行した契約書を取り戻しにいく。

そうしてトード氏と仲間たちのミッション・インポッシブルがはじまるわけだが、このドタバタ具合がなかなかカートゥーンらしくて面白かった。割とトムとジェリーとかに影響を与えたんじゃないかと思えるようなドタバタとした演出が面白い。

そしてトード氏はカートゥーンらしく、何も成長せずに物語を終える。変わろうとしたのかもしれないが結局は物欲は消えずに新しいものを追いかけ回して終了する。

ディズニーでは珍しいカートゥーン的な物語で、割と映画が好きな人は見ておいたほうがいいんじゃないかって思った。なぜかというと、いろんなところに影響を与えていて、この敵のイタチ軍団が『ロジャーラビット』の敵のイタチ軍団に影響を与えたらしいのだ。思い返せば激似だ。

『ロジャーラビット』はロバート・ゼメキス監督の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と『フォレスト・ガンプ』の次くらいに有名な代表作。

アニメキャラクターが実際に生きているトゥーンタウンを舞台に人間の私立探偵とカートゥーンキャラクターで映画スターのロジャーラビットのバディムービーだが、彼らを追うトゥーンパトロールはイタチ軍団。トード氏もちょい役でちょこっと出演している。

なぜこのイタチ軍団が『ロジャーラビット』に出てくるのかというと、おそらくディズニーが製作したトムとジェリー的な作品の代表作だからだと思う。今思えば、ドナルドダッグがこういったキャラになることはあれど、単体の作品でドタバタコメディは少ない。このトード氏の物語こそが、ディズニーを代表するドタバタコメディの古典なのではないか。そう思うと映画ファンは見ておいたほうがいい気がする。

※余談だが、トード氏を主人公にしたアトラクションがカリフォルニアのディズニーランドにある。この『トード氏のワイルドライド』と呼ばれるアトラクションは、クラシックカーに乗って映画の世界観の中爆走するアトラクションで、おそらく東京ディズニーランドにある『ロジャーラビットのカートゥーンスピン』は同じシステムを用いたアトラクション。

あとトード氏は『ミッキーのクリスマス・キャロル』の中にもスクルージの友人役として出てくるらしい。今度見返してみよっと。

※この作品もディズニーデラックスで配信されてます。

イカボード『スリーピー・ホロウの伝説』

続いてイカボードの物語。ビング・クロスビーがすべてのナレーション・声優を担当しているので、激シブボイスで物語が進行する。

変人教師、イカボードがある町にやってくる。そんな彼は街一番の美女で大金持ちの娘のカロリーナに一目惚れ。恋敵のブロムと仁義なき戦いが始まる。ハロウィンのダンスパーティでトード氏のパート的なドタバタとした戦いが繰り広げられるもイカボードが圧勝。カロリーナをゲットする。
ここまではほぼ、トード氏と同じような構成になっている。欲深い男が欲しい物を手に入れるドタバタとしたカートゥーンだ。だが、このあと物語は急展開。

大敗を喫したブロムは、イカボードの弱点である怖い話を聞かせ、怖がらせる。この街に現れるという首なし騎士(The Headless Horseman)の話、「スリーピー・ホロウの伝説」だ。ここのミュージカルシークエンスの出来がかなりよくて、ゾクゾクとするような演出が素晴らしい。ただこの音楽は日本で発売・配信されていないので輸入盤CDを購入するくらいしか聞く方法がない。なのでSpotifyとかで聞こうと思っても聞けない。ビング・クロスビーの曲なのに!

『スリーピー・ホロウの伝説』を聞いて足がガクブルなイカボード先生は首なし騎士に遭遇しないようにそろりそろりと慎重に帰る。だが彼は精神が錯乱して幻覚なのか、はたまた本物なのかわからない首なし騎士に命を狙われる、といった物語。彼の運命は一体どうなるのか。さすがにここを書いたら楽しめないので省略します。ただ個人的にはトード氏の話が好きだったです。イカボードの乗ってる馬があまりにもアホすぎて笑。

この『イカボードとトード氏』という作品自体について簡単にまとめると、2人の欲の塊のような主人公の物語で、1話目では王道のカートゥーンコメディで子供の心をつかんだ後に、2話目でも同じような展開をする話で楽しませる。だけどラスト10分で全力で怖がらせに来る。そんなオムニバス映画だった。 映画好きなら見ておいて損のない作品ですよ。

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なかには、見れない作品もあります。ですが、ラインナップはどんどん増えてきて、そういった作品は減ってきている。近年制作された作品はすべて入っていると言い切っていいくらい充実しているし、『イカボードとトード氏』のような激レア映画まで配信されている。

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