『アンダー・ザ・シルバーレイク』感想。
『アンダー・ザ・シルバーレイク』は、デヴィッド・ロバート・ミッチェルが監督・脚本を務めた2018年のアメリカのネオノワールミステリー映画。
この映画は、2011年のロサンゼルスを舞台に、突然失踪した隣人サラ(ライリー・キーオ)を探す主人公サム(アンドリュー・ガーフィールド)の物語を描いています。サムは彼女の失踪の謎を追いながら、ロサンゼルスの闇に潜む陰謀やスキャンダルに巻き込まれていく。
本記事はその感想です。
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評価が真っ二つに分かれた映画「アンダー・ザ・シルバーレイク」
ミニシアター系の作品で、はやいとこでは10月くらいに公開された作品です。
僕の地元では先週公開されました。映画館で意味不明な映画を見たとき、退出するときどんな表情をすればいいのかわからなくなることが多いんですが、この映画もそんな作品でした。
ポカンとさせるような映画を見終わって「ん?????????」と思いながら、周りに座っている人と目を合わせるのに気まずさを感じながら退出しました。
凄まじく意味不明な作品で、ポカンとしてしまう。だけど、ダルいときとかに見返したくなるような、唯一無二の作品でしたよ。
『アンダー・ザ・シルバーレイク』あらすじ・作品情報
セレブやアーティストたちが暮らすロサンゼルスの街シルバーレイク。ゲームや都市伝説を愛するオタク青年サムは、隣に住む美女サラに恋をするが、彼女は突然失踪してしまう。サラの行方を捜すうちに、いつしかサムは街の裏側に潜む陰謀に巻き込まれていく。「私たちは誰かに操られているのではないか」という現代人の恐れや好奇心を、幻想的な映像と斬新なアイデアで描き出す。
『イット・フォローズ』で世界的に注目を集めたデビッド・ロバート・ミッチェル監督が、『ハクソー・リッジ』などのアンドリュー・ガーフィールド主演で描いたサスペンススリラー。カンヌ国際映画祭コンペティション部門で出品され、賛否両論の渦を巻き起こした。
ハリウッドで成功するには、ハリウッドに隠された暗号を解読しなければならないという妄想にとりつかれた主人公が暗号を解読するという、どう考えても主人公の妄想でしかないストーリーが、いろいろな作品のオマージュとともに映像化されている。
ほんとにわけのわからない作品で、どう考えても全てが主人公の妄想。
どれが現実に起こっていることなのか全くわからないストーリー、ポップなものと汚いものが入り乱れた映像に病みつきになっている人が多いというようなレビューをよく見かける。
ざっくりと解説・落伍者の「ラ・ラ・ランド」
この映画、それなりの映画好きでないと言わんとすることとか、元ネタに関して全く理解できないだろうし、僕程度の映画知識を持っていてもポカンとするような感じなので、あまり映画に詳しくない人が見てもなんのこっちゃわからないシーンが多い。
元ネタとされる映画は『百万長者と結婚する方法』『裏窓』などなど。元ネタとされている映画を全て見ていて、かつ1回見ただけで全てを理解出来た人はいないでしょう。
ただ、映画をそれなりに見ていたら、いろいろと名前だけでも聞いたことあるタイトルが出てきたりとか、元ネタがちょっとわかって面白い。
特に僕は『ホーリー・マウンテン』からの影響が大きいと感じました。例えばスカンクに匂いをつけられる主人公の姿は、『ホーリー・マウンテン』における、精神が腐敗しているがために虫がたかるほど悪臭を放つ主人公と似ている。また、ビジュアル面でも『ホーリー・マウンテン』っぽさがあった。ホドロフスキーみの感じる作品だ。
他にも『泳ぐひと』や『めまい』などの作品からの引用が印象的だった(前者に関しては誰も書いていないのでもしかしたら考えすぎなのかもしれない)。特に『ラ・ラ・ランド』からの引用が多かった。
そしてストーリーは、ハリウッドで成功を夢見る若者の没落で、完全に『ラ・ラ・ランド』の真逆。この映画はよく言われているが「悪夢版ラ・ラ・ランド」である。
『ラ・ラ・ランド』との共通点1/「第七天国」
この作品の中のセリフで出てくる作品に「第七天国」という作品がある。
第七天国【淀川長治解説映像付き】《IVC BEST SELECTION》 [DVD]
この映画は『ラ・ラ・ランド』にものすごく影響を与えた作品だ。『ラ・ラ・ランド』のラストはこの映画がヒントになっていると監督のデミアン・チャゼルが言っている。
『第七天国』のラストは自分の思い描いたものが現実になるというラストで、『ラ・ラ・ランド』のラストは自分の思い描いていた妄想が狂気のミュージカルとして映像化する。
『アンダー・ザ・シルバーレイク』では劇中にしっかりと、この映画の名前が何度もでてくる。
そして自分の思い描いた陰謀論を信じ込み、悪夢のような妄想を現実と錯覚している男の物語を描いている。
『ラ・ラ・ランド』との共通点2/グリニッジ天文台のジェームズ・ディーン
『理由なき反抗』の会話になってから、ラストシーンのロケ地であるグリニッジ天文台に行って宙を浮遊するのが『ラ・ラ・ランド』だが、本作『アンダー・ザ・シルバーレイク』では、妄想にとりつかれた主人公は、グリニッジ天文台に行って地下帝国に潜っていく。
浮遊する『ラ・ラ・ランド』では最終的に主人公たちはスターとして成功するが、『アンダー・ザ・シルバーレイク』では文字通り下に潜りどんどん没落していく。
「ラ・ラ・ランド」との共通点3/エマ・ストーンの元カノが主人公
主人公を演じるアンドリュー・ガーフィールドはエマ・ストーンの元彼だ。『アメイジング・スパイダーマン』では二人でピーターとグウェンのカップルを演じていたが、実生活でも付き合っていた。
『ラ・ラ・ランド』でエマ・ストーンは、夢を追いかけた結果ハリウッドスターになる主役を演じ、アカデミー主演女優賞を受賞した。
エマ・ストーンの元彼のアンドリュー・ガーフィールドは、本作『アンダー・ザ・シルバーレイク』でハリウッド界隈に住んで夢を追いかけるもどんどん堕落する、真逆の役を演じている。
まとめ・まさかの自己啓発映画
この映画、普通に考えればものすごく不毛な作品だ。「俺は一体何を見ていたんだ」と感じざるを得ない。もう、言ってしまえば、面白くないのだ。
長い上に意味不明な映像が続く。ポップな映像かと思いきや汚物が出まくるこの映画。僕は正直、面白くないし、ワーストにいれることのほうが多い映画だろうなと思いました。
だけど、この映画、やる気が全く起こらないときとかに見たら意外と効くかもしれない。
自分の人生がうまくいかないことに僻み、社会の複雑性を拒否し物事を単純化したいがために陰謀論にしがみつく、端的に言ってしまえばネトウヨ的な人間の誇大妄想の末路を見せつけられる。
陰謀論を信じて夢中になるが、全く働かない。暗号解読に夢中になり全く努力しない。不毛な時間だけを過ごしている間に、未練たらたらな元恋人は成功する(このシーンも妄想なのか現実なのかわからないのだが)。
ダラダラしてたらこんなやつになるぞ!という危機感に襲われ、没落した様をみることによって逆にやる気になるみたいな、そういう効果がある作品でした。
中毒性が強いというよりも、そういった側面が強い作品だと感じましたね。やる気が起こらないときに見る自己啓発系映画として、案外おすすめですよ。
ポカンとする内容ですけど、興味のある方はぜひ見に行ってみてください。
※関連映画を見るおすすめの方法
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※本ページの情報は2024年7月時点のものです。最新の配信状況は U-NEXT サイトにてご確認ください。
※参考文献等