「ヴェノム」を先日ようやく見たので感想。
結論から言うと、長くて短い、でも結構楽しめる。そんな感じ。
「ヴェノム」あらすじ・作品情報
「誰もが望む、歴史的偉業」を発見したというライフ財団が、ひそかに人体実験を行い、死者を出しているという噂をかぎつけたジャーナリストのエディ・ブロック。正義感に突き動かされ取材を進めるエディだったが、その過程で人体実験の被験者と接触し、そこで意思をもった地球外生命体「シンビオート」に寄生されてしまう。エディはシンビオートが語りかける声が聞こえるようになり、次第に体にも恐るべき変化が現れはじめる。
バイオレントなアメコミを、全年齢でも楽しめるように、コメディタッチで作って成功している作品。完全にジム・キャリーの「マスク」のような作品である。
監督はルーベン・フライシャー。「ゾンビランド」の監督ですね。もう彼が監督を務めると聞いた時点でコメディみたいな作品になるんじゃないのかなと思ってたんですけど、そのとおりでしたね。ダークヒーロー者かと思いきや完全にコメディタッチの王道アメコミ映画でした。
「ヴェノム」感想・長くて短い
この映画、批評家からは酷評されていて、観客からの支持は高いという、最近よくある映画の典型のような評価をされている。そんな評価を聞いて見に行って、感じたことは、酷評される理由がわからなくもないということ。
まず、この映画が酷評されている理由のひとつに全然「最悪」ではなかったことがあげられる。ヴェノムというキャラクター自体、人間を貪り食うようなキャラクターではなくど根性ガエルみたいなやつだった。アンチヒーローものかと思いきや完全にコメディだったというもので、バイオレントなダークヒーローを期待していたアメコミに精通した批評家とかからは酷評されている。
ただ、これはこれで悪くない。コメディシークエンス自体面白いものが多い。レヴェナントとマッドマックスをかけ合わせたみたいなシーンがあったり、「ブルース・ブラザース」でやっていたような高級料理店ギャグなど、コメディ描写は全編に散りばめられている。
だけどこの映画、もっとうまくできたと思う。映画として特段優れているわけでもない。
まず、長い。主人公がシンビオートと同化するのに、ものすごく時間がかかる。ヴェノムというキャラクターが登場して、アクションシーンに至るまで、ものすごく長く感じる。
長く感じる理由は、ある種の既視感も関係する。「寄生獣」みたいなプロット、「ダークナイト・ライジング」のベインが主人公、音楽も王道アメコミ映画っぽい。いろいろと見たことある。
本作における元ガールフレンドのミシェル・ウィリアムズは「アイアンマン」におけるグウィネス・パルトローとビジュアル面や立ち位置が非常に似ているし、ヴェノムの声はバットマンみたい。なんとなく、昔見たことあるような感じがするのだ。
そしてストーリーも既視感がありベタ。そのストーリーをじっくりと描いているため、少々退屈に感じる。
ジャーナリストが人体実験絡みの会社に取材して闇を知るといったストーリーからして、だいたいこのあとの展開がどんな感じなのかが容易に想像できる。
そして自分の想像していたものとだいたい同じようなストーリーが進行するわけなんだけど、ものすごく長く感じる。ヴェノムがなかなか現れないのだ。
こっちはシンビオートと同化してから怒涛のアクションが繰り広げられる様を見に来たのに、なかなかヴェノム自体が現れない。どう考えても研究所に潜入したときに寄生されるんだろうけど、なかなか研究所に行かない。「もうだいたい予想ついてるからはやくヴェノム出してよ!」と言いたくなるくらい長く感じる。
中盤あたりにようやくヴェノムが現れる。だけど、このアクションが思ってたものよりも少々短い。あまり満足しない。最近のマーベル、例えば「ブラックパンサー」や「マイティ・ソー バトルロイヤル(ラグナロク)」はアクションシーンだけでお腹いっぱいになるくらい情報量が多かった。だけど、「ヴェノム」はこじんまりとした出来で、アクションシーンの見せ場が、これらの映画に比べ少なかった。
序盤が冗長に感じるのに、アクションシーン自体あまりないのだ。長く感じるのに短いのだ。
実際この映画のランニングタイムは110分程度。他のアメコミ映画に比べ結構短いが、無駄のない脚本でスピーディーに終わるというよりも、最初が長いのにアクションが少なく「もう終わるんだ」というような感じになる作品だった。
「デッドプール」との違い
ここで思い出さずにいられないのは、同じようなアンチヒーローの実写映画の「デッドプール」。
110分程度の作品で、無責任ヒーローが主人公のお気楽アクション映画なのに脚本に全くといっていいほど無駄のない傑作だった「デッドプール」では、冒頭にいきなり観客が望んでいたようなアクションがスクリーン上で展開する。
そして、不死身になるに至った過去を語り出すが、この流れも全く退屈させない。主人公が繰り出すギャグとともに、非常にスピーディーに、簡潔に描いているため、全く冗長に感じない。
本作「ヴェノム」では、なかなかアクションシーンが流れない。そのため前半が少々退屈で、終盤のアクションも消化不良というような印象を抱いた。コメディシークエンス自体結構あるので、もっと脚本が練られていたらとんでもない傑作になっていたのではないかと感じた。
まとめ
酷評されるほどひどくはなくて、まあまあ面白いんだけど、前半がかなり退屈でもっとアクションが充実してたらなあ。というのが正直な感想です。
ベタなために冗長に感じる前振りがなければ、普通にめちゃくちゃおもしろい作品に仕上がるのではないかと思います。
要は、この映画の続編が作られたとき、うまくいけば普通にめちゃくちゃおもしろい傑作になると思います。
初っ端から怒涛のシンビオートアクションが展開する面白い続編になってほしいですね。ポテンシャルは充分秘めているため、続編に期待。
僕の感想はこんな感じですけど、絶賛する人が非常に多い作品なので、興味のある方はぜひ見てみてください。