IMAX VS ドルビーシネマ
IMAXとドルビーシネマはどちらも、通常の映画館をグレードアップした、上位互換の上映形式として知られています。
しかし、これらの違いを全く理解していない人は意外と多い。
今回の記事では、ドルビーシネマのヘビーユーザー、IMAXレーザーでも映画を見ることが多い僕が、IMAXとドルビーシネマの違いを徹底解説し、それぞれどんな映画に適しているのか、そしてどちらがいいのか詳しく比較していきます。
映画好きの皆さんが最高の映画体験を選ぶ手助けになれば幸いです。
Contents
この記事を書いている人の信憑性
僕はドルビーシネマのヘビーユーザーで、見たい作品がドルビーシネマで公開されるときはなるべく博多にあるドルビーシネマで見るようにしている。また、最近家から比較的アクセスしやすい飯塚にIMAXレーザーの劇場ができたので、そちらで観ることも多い。
要は、ドルビーシネマでもIMAXレーザーでも映画を観ることが多い。
加えて、旅先にドルビーシネマやIMAXレーザーに対応している劇場があったときはなるべくそこで映画を観るようにしています。
すべて回りきれているわけではないが、ドルビーシネマに関しては8/10(2024年7月現在)の劇場で映画を見たことがあります。ただ、最近はIMAXレーザーでも映画を見るようにしています。『テネット』をドルビーシネマで観た後にIMAXレーザーで間髪入れずにみたらIMAXレーザーのほうが優れているところがわかったからです。そんな感じの僕が、解説していきます。
映画館でよく見る追加料金が発生する上映形式
今日の映画館は、通常の上映形式に加えて+α、色々なアプローチで観客を楽しませる上映形式が増えました。
基本的なチケット料金に加え、追加料金を支払うことで特別な視聴体験を提供する形式のものがここ数年でどんどん増えてきています。例えば、4DXやMX4Dといった体感型上映方式は、座席が動いたり、風や水しぶきが体験できたりなど、映画と連動してモーションが加わる。まるで映画の中にいるかのような没入感を提供しています。
また、ScreenXは、三面のスクリーンに映像が映し出されることで、視界全体を覆うような映画体験ができる。
他にも、TCXやドルビーアトモス、BESTIAなどといった音響に力を入れたものもあります。
これらの形式と並んで、IMAXとドルビーシネマという上映形式もよく見る。ドルビーシネマは全国的にまだ少ないので見たことない人もいる可能性があるが(そんな人はこの記事を読んでいないと思うが)IMAXは誰もが見たことあると言ってもいいくらい浸透している。
IMAXは、巨大なスクリーンと高解像度の映像、そして独自の音響システムにより、視覚と聴覚の両方で圧倒的な臨場感を提供します。
一方、ドルビーシネマは、Dolby Visionによる高コントラストな映像と、Dolby Atmosによる立体音響で、映画の細部までクリアに体感できる環境を提供します。
その違いはそれこそMX4Dと4DXと同じで、特徴は同じだがブランドが違う。MX4Dと4DXは、どちらも座席が揺れたりする4DX形式の劇場だが、ブランドが違うだけだ。作っているところが違うため、それ故の違いがある。
それと同じで、IMAXとドルビーシネマもブランドが違うだけで、「通常の映画の音響・映像・迫力を凌駕した映像体験ができるスクリーン」で、ブランドの違いでそれぞれ強みが違います。
IMAX/IMAXレーザー/IMAXレーザーGTテクノロジーとは
IMAXとはなにか。
IMAXデジタルシアター(通称IMAXシアター)はスタンダードな上映をアップグレードした上位互換みたいなやつ。並のスクリーンよりも大きく、鮮明で、臨場感のある映画体験ができるシアター。
で、最近はそれよりもすごくなったIMAXレーザーの劇場が増えてきている。
今までにない感動体験をすべての人に。
独創的な発想と優れたテクノロジーで映画鑑賞の可能性を
広げてきたIMAX®から、新たに「IMAX®レーザー」が誕生しました。
「IMAX®レーザー」は、革新的な4Kレーザー投影システムを採用し、
より鮮やかで明るく、深みあるコントラストの超高解像度映像を実現。
IMAX®ならではの大スクリーンに映し出すことで、
従来とは一線を画す劇的な体験をもたらします。
さらに音響面では、これまでの水準を超えるダイナミックレンジと
高密度サウンドを実現する最新の12chサウンドシステムを採用。
圧倒的な臨場感で客席を包みます。
これまでの限界を超えた新しい映画の世界へ。
その違いをぜひ体感してください。(109シネマズ公式サイトから引用)
普通のIMAXデジタルシアターよりも映像美やサイズがアップグレードした上映形式だ。昔はまだ少なかったものの、今現在は多くなってきていてこちらが主流になっている。
この中でも特に、2015年にできたエキスポシティのIMAXレーザー、IMAXレーザーGTテクノロジー(旧称:IMAX次世代レーザー)は、IMAXレーザーの劇場の中でも特にスケールが大きいことで知られている。
この2館はとにかくスクリーンがバカでかい。僕はどちらも見に行ったことがあるけれど、格が違う。僕が行ったことのある劇場でレビューを書いているものは、さっきの茶色の太文字を押せば感想記事に飛びますんで、よかったら読んでみてください。日本には現在、エキスポシティと池袋にある。
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ドルビーシネマとは
ドルビーシネマとは何なのかというと、2018年の秋に日本初上陸した上映形式。
昔は福岡にしかない、福岡でしか見ることのできない上映形式だったものの、大阪やさいたまのTジョイ系列・松竹系列の劇場などポツポツできだしていて、いま現在(2024年7月)は全国に10館ある。
先述のIMAX(レーザー)と同じく、高画質、高音質、大スクリーンによる迫力のある映像が売り。
このドルビーシネマはIMAXと違い、
・ドルビービジョン
・ドルビーアトモス
・AVP
という特徴がある。
ドルビーシネマは真っ黒なスクリーンが売り
まず映像面、「ドルビービジョン」について解説します。
ドルビービジョンは、ドルビーシネマでしか体験できないような、高画質な映像だ。
このドルビービジョンの凄さは映画の上映時間になると流れるデモンストレーション映像を見るとすぐに分かる。
黒い画面がスクリーンに写っている。こんな感じに。
通常のスクリーンと同じような、ちょっと明るめな黒。
で、これがこうなる。
真っ黒。すごい。
これ、デジタル媒体で見てもよくわからないだろうと思う。でも暗闇のスクリーンで見ると感動すると思う。真っ暗にして見比べてみてください。
ドルビーシネマの一番の売りはこの、「完璧な黒」です。とにかく黒が鮮やかで映像がめちゃくちゃきれい。普通のスクリーンとぜんぜん違っていて、いつもどおりの映画を見ているのに、きれいすぎて見たことない映像になっている。暗転するシーンとかが、完璧な黒。
普通の映画館で見る暗転が明るく感じてしまうほど、真っ暗な映像で映画を見ることができます。
ドルビーアトモス
続いて音響システム、ドルビーアトモスについて簡単に説明します。
かなりメジャーで、導入している劇場も割と多いので知っている人もかなり多いと思う。「ドルビーラボラトリーズ (Dolby Laboratories, Inc.)」が開発した音響システムだ。
最大64chに対応しているというにわかには信じがたい音響システムで、ドルビーシネマもこの、ドルビーアトモスを採用している。
▷ ドルビーアトモスとは何?普通の映画館との違いを詳しく解説
ドルビーアトモスで見る迫力のある音響に、先述のドルビービジョンの超高画質映像が組み合わさった映像体験ができるのが、ドルビーシネマだ。
AVP
これは本編の上映には関係ないけれど、ドルビーシネマにはAVP(オーディオ・ビジュアル・パスウェイ)があるという特徴もある。
簡単に言うと、映画館に入るまでが、動くポスターつきの廊下みたいになっている。
本編に関わる映像がプロジェクターによって投影されていて、上映作品によって異なる映像が廊下にながれるので、映画を見る前から作品の中に入り込める上、SNS映えする写真も撮れます。
今まで見たAVPで一番良かったのはTジョイ博多で『マトリックス』みたときのやつ。
今まで上映された作品のAVPの中で一番かっこよかった。完璧な黒で見れるドルビービジョンと、大迫力のドルビーアトモスによる音響プラス、こういうテンションのあがる通路もあるのがドルビーシネマです。
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IMAX vsドルビーシネマ!徹底比較
先述の通り、どちらも映像や音響が通常よりもパワーアップした「上位互換シアター」。なので、ブランドによる違いでしかない。スマートフォンでいうiPhoneとAndroidの違いと同じで、スマートフォンのOSであり、基本的な機能は変わらない。ただ、これら2つの使い勝手が微妙に違うように、IMAXとドルビーシネマにはそれぞれ違う強みがあります。
1. 映像技術
IMAXは高解像度の映像技術で知られています。まず、IMAXは専用のIMAXカメラとプロジェクターを使用することで、通常の映画よりもはるかに高い解像度の映像を提供しています。
IMAXフィルムはデジタルのものと比べて35mmフィルムの10倍、70mmフィルムの3倍の解像度を持っていて、この高解像度により、細部まで非常にクリアで精細な映像を楽しむことができる。また、IMAXは色彩の正確さとコントラストの豊かさにも優れています。
ドルビーシネマは、Dolby Visionという高ダイナミックレンジ(HDR)映像技術を特徴としています。これにより、広範な色域、深い黒、明るい白を表現できます。先述の通り、黒がすごい。
HDRは暗いシーンの細部や色彩の鮮やかさを際立たせるので、ビジュアルが豊かな作品や暗い雰囲気の作品に最適です。
勝敗は・・・
IMAXの映像とドルビーの映像を比較すると、個人的には黒の美しさが売りのドルビーシネマのほうが好みで、昔からよくドルビーシネマを選んでいました。ただ、数年前に『テネット』を見てから、IMAXの映像も素晴らしいなと思いました。IMAXカメラで撮影された作品は、IMAXレーザーで見たほうがきれいだと感じます。これは作品に夜と思います。
2. 音響技術
IMAXの劇場は、クリアな音声を大音量で提供するための高度な音響システムを備えています。この音響システムは視聴者に強力な視聴体験を提供します。
ドルビーシネマではDolby Atmos音響技術が使用されており、立体的な3Dサウンドを実現しています。天井を含む劇場全体にスピーカーが配置されており、音が観客の周囲を移動するように聞こえます。この技術により、音声の位置や動きが正確に再現され、映画の音響がストーリーテリングに重要な役割を果たす場合に最適です。
勝敗は・・・
まとめるとこのような違いになるわけですが、個人的にドルビーシネマのほうが好きです。IMAXでいいところもあるにはあると思いますが、僕がよく行く博多のキャナルシティにあるIMAXレーザーの音響はそこまですごくない。
ひどくはないし、悪いわけではないけれど、ドルビーシネマのほうが鳥肌が立つ。ドルビーシネマは体に振動が響くくらい音がなりますが、キャナルのIMAXはそこまで強くない。なので個人的には音響面はドルビーシネマのほうが好みです。
まあでも、ドルビーシネマが採用しているドルビーアトモスは「やかましい」と思う人も結構いるようです。好みによります。
また、ユナイテッド・シネマ札幌やエキスポシティのIMAXレーザー(GTテクノロジー)のように、鳥肌がたつような、体に振動が伝わるような環境のところもあります。場所によります。また、僕が最近行くようになった飯塚も、博多のドルビーシネマと比較しても遜色ありません。
3.スクリーンの大きさ
IMAXは、他の多くの劇場形式よりも大きなスクリーンを持つことで有名です。IMAXスクリーンは通常の映画館スクリーンよりも最大で10倍の大きさを誇り、縦横比も特別に設計されています。
この大規模なスクリーンは、視覚的に圧倒的な体験を提供し、特に壮大な景観やアクションシーンでその真価を発揮します。特に先述のIMAXレーザーGTテクノロジーを採用するエキスポシティと池袋の映画館では日本最高峰の大きさのスクリーンで、映画を観ることができる。
ドルビーシネマのスクリーンも非常に高品質ではあるものの、IMAXの、特にGTテクノロジーと比較するとスクリーンサイズはやや小さめ。また、ミッドランドスクエアシネマのドルビーシネマやMOVIXさいたまなどのように、特段、すごい大きいわけでもないスクリーンもある。
勝敗は・・・
これも劇場によります。先述の通りドルビーシネマのスクリーンは小さめのところも多いが、IMAXレーザーでもそういうところはある。
個人的によく通うTジョイ博多は、IMAXと同じくらい、それよりも大きいんじゃないかと思うくらい大きい。IMAXと遜色ない大きさのところも結構あります。
どちらを選ぶべきか?
映画館選びで悩む際、IMAXとドルビーシネマのどちらを選ぶべきかは、視覚・聴覚の体験をどのように楽しみたいかによって変わってきます。また、それぞれ強みにしている作品は違います。
ドルビーシネマがおすすめの作品
ドルビーシネマはDolby Visionの高ダイナミックレンジ(HDR)技術を活かし、黒の深さと色彩の豊かさを際立たせた映像美が特徴です。
このため、黒を基調とする作品に特に適しています。例えば、僕が過去に見たものだと、『マトリックス』のリバイバル上映、夜のシーンが多い『ジョン・ウィック』シリーズなどはとても映像が美しかったです。
深い黒と鮮やかな色彩が細部まで美しく表現され、作品の世界観が一層引き立ちます。また、ドルビーシネマのDolby Atmos音響技術は、音が立体的に聞こえるため、大音量で楽しみたい作品にも最適です。音楽映画やアクション映画、特に『ボヘミアン・ラプソディ』のような音楽の要素が重要な作品では、臨場感のあるサウンドが体験を豊かにします。
IMAXがおすすめの作品
IMAXはその巨大なスクリーンと高解像度映像で、視覚的に圧倒的な体験を提供します。特に、大きなスクリーンで観たい作品に適していて、かつ、IMAXカメラで撮影されたものは、IMAXレーザー、できればIMAXレーザーGTテクノロジーで観たほうがいいと思っています。
また、例えばクリストファー・ノーランが監督した作品や、『NOPE』、『DUNE 砂の惑星』シリーズなどをIMAXで見れば、通常のスクリーンと比べ、見える範囲がぐっと広がります。
ノーランの戦争映画、『ダンケルク』はIMAXのサイズ、1.43:1で撮影されている。
IMAXのスクリーン(右)で見ると、通常の劇場のスクリーン(左)のスタンダードサイズ、2.40:1で見たときよりも、これだけ映像の情報量が違いますよという動画がある。
(出典:DUNKIRK — IMAX 70mm footage vs Standard footage)
『ダンケルク』をIMAXレーザーで見ると、右のスクリーンのように、見える範囲が広がる。IMAXレーザーで見たら、通常のスクリーンよりも迫力のある体験ができます。
IMAXカメラで撮影された作品は、IMAXで観ることによって最も忠実に再現されているので、ドルビーシネマよりもIMAXで見るのがおすすめです。
まとめ
ドルビーシネマとIMAXのどちらを選ぶかは、視覚や聴覚の好み、そして観たい映画のジャンルによって異なります。黒が際立つ映像美で、ど迫力の音響で映画を見たいならドルビーシネマ、IMAXカメラで撮影された作品などはIMAXがおすすめです。
参考にしてみて下さい。