なかなか見れない伝説の映画 「タレンタイム〜優しい歌」

なかなか見れない伝説の映画 「タレンタイム〜優しい歌」

伝説の映画である。それは昨年の春に、8年越しに全国公開された時のキャッチコピーであっただけでなく、ほとんどの劇場で公開が終わった今もなお、伝説の映画として知られている。

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この作品はものすごく評判がよく、昨年のベストテンの1位にする人が非常に多かった。しかし、未だにDVDが発売されていないのだ。ものすごく評判がいい作品なのに見れる機会があまりも少ない。そのため、「早くDVD出すか配信してよ!」とずっと思ってた。

そんな本作「タレンタイム」が、福岡市総合図書館の映画館、シネラで上映されていたので、今回見に行った。

福岡市総合図書館のミニシアター・シネラについて

あらすじ

ある高校で、音楽コンクール“タレンタイム” (マレーシア英語=学生の芸能コンテストのこと)が開催される。ピアノの上手な女子学生ムルーは、耳の聞こえないマヘシュと恋に落ちる。二胡を演奏する優等生カーホウは、成績優秀で歌もギターも上手な転校生ハフィズに成績トップの座を奪われ、わだかまりを感じている。マヘシュの叔父に起きる悲劇、ムルーとの交際に強く反対するマヘシュの母、闘病を続けるハフィズの母…。マレー系、インド系、中国系…民族や宗教の違いによる葛藤も抱えながら、彼らはいよいよコンクール当日を迎える……。

隔たりとこれからの課題

今となっては普遍的なテーマの作品だ。
日本でいう文化祭系青春映画ジャンルの作品だが、だいたい「シェイプ・オブ・ウォーター」や「ビッグ・シック 大いなる目覚め」などと共通したようなテーマを扱っていて、特に後者に似ている。

マレーシアという国は他民族社会で、この映画の重要なキーパーソンは4人とも違う民族ないしは宗教だ。そしてこの作品では、英語だけでなく、ヒンディー語などの民族語が用いられ、さらには馴染みのない人には全く馴染みのない手話までも言語の表現方法として使われる。わかりやすく可視化されているように、そこには隔たりが存在する。

親から理解されない異文化間での恋愛を主軸に、分かりあえない異文化間での確執について描いているが、二人のラブストーリーだけでなく、他の人物の描写も非常に丁寧で、よく作られている。第一印象では嫌な奴だと思っていた人が、後々、事情が判明して印象がガラッと変わることが多い。特に、中華系のカフーのエピソードがよく出来てる。

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「ビッグ・シック」でも描かれていたが、異教徒である恋人を持ちたがらない母親や、移民であるがゆえの焦りによる嫉妬など、様々なことが描かれる。だが、事情を知りさえすれば、和解は可能なのだ。第一印象だけで決めていいほど単純ではない。この映画の登場人物の印象が変わるように、偏見に満ちた考えで安直に決めつけてはいけない。

それはスクリーンを見ている観客には痛いほどわかるのだが、なかなか壁を取り壊すことができない。実際僕たちだって、おなじようなシチュエーションが現実で起こった時どう思うのか、全くわからない。

そんな異文化間の断絶を描いたこの映画のラストシーンでは、観客が想像しえないようなセッションが流れる。そして若干唐突に映画は終わるが、それが意味しているものはなんだろうか。答えは明確であろう。

弾圧は何も産まないし、これから進むために必要なものは和解、ミクスチャーなのだ。

思ったよりも映像の感覚が古く、「牯嶺街少年殺人事件」みたいな世界観でびっくりしましたが、思っていたよりも引き込まれて面白かったです。ラストが唐突だったのでびっくりしたけど、シンプルかつ分かりやすい終わり方で、非常に深い作品でした。もし、近くで公開される機会があるのであれば、ぜひご覧になってください。

 

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