
最近、いろいろあってブログが全然更新できていない。
デザインを勉強してたら沼にはまったとか、メルカリで売るものに囲まれすぎて片付けに追われていたとかいろいろあるけど、先週あるものを購入したのに全然届く気配がないのがおそらく一番の原因。
それが届くまでは情報収集や勉強に重きを置いて、届いてから心機一転して書こうと思ってたのに5日経っても配送通知メールすら届かない...
ま、気を取り直して書いていきましょう。
Contents
最近のIVC
昨年から、シネフィルWOWOWや紀伊國屋書店、IVCのディスクアナウンスをチェックするようになった。
一昨年とかは、全く気にしていなかったんだけど。
レンタルではなかなか見ることができない名作も見るようになってから、買ったほうがいいディスクを選別して、そういった作品を優先的に購入するようになった。
昔は2枚で3000円みたいなやつで、好きな作品をかなり揃えてたんだけど、そのお金をレンタルされていなくて廃盤になりそうな作品とかにかけたほうがいいよなーって思い出して、少々高額なディスクを購入するようになった。だってレンタルで見れるやつは買わなくてもレンタルすればまた見れるわけだしねえ。今後見れない恐れのある名作にお金かけたほうがいいよ。
そんなこと考えながら情報収集していたのだが、まさかこのタイトルが発売されるなんて思わなかったぞ。
2017年の終わりから2018年の初めにかけて発表されたIVCからのラインナップ。
ロベール・ブレッソン監督の「ラルジャン」が1月に、
アッバス・キアロスタミ監督の「クローズ・アップ」が3月に、
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督の「ヴェロニカ・フォスのあこがれ」が4月に発売された。
「ラルジャン」に関しては、そこまでプレミアがついているわけでもなかったが、後者2つに関してはDVDがプレミア化しており、1万円を超えるような作品だった。
加えて、3作品ともDVDレンタルで見ることができない。
そんな3タイトルがHDリマスターされて発売された。
というわけで、今回思い切って購入して見てみた。
作品自体の質に関しては言うまでもないですけど、ディスクのスペックも高かったですよ。
ラルジャン
ロベール・ブレッソン監督の遺作かつ最も有名な傑作の一つですね。
黒沢清監督に多大な影響を与えたと言われており、映画史に残る、ものすごく有名な作品なのになぜかレンタルはVHSでしかされていない。
いつかDVD買おうかなーと思っていたが、今回リリースの発表があったので思いきって買った。
「ラルジャン」あらすじ
小遣いに不足したブルジョワ少年が親に無心して断られ、借金のある友人に弁解に行くが、友人は彼に偽札を使ってお釣りをくれればいいと唆す。彼らはその札を写真店で使い、まんまと企ては成功。偽札をつかまされた店の主人夫婦は、これを燃料店への支払いに使う。結果、その従業員イヴォンが気付かず食堂で使って告発された。彼は写真店を訴えるが、店員ルシアンの偽証で責任を負わされ失職する。
一枚の偽札がきっかけで話はとんでもない方向に向かっていく。
「うわー!すげー!」ってなるような展開をし、「ええ...まじか」と思わざるを得ないようなストーリーが進行していく。あんまりストーリーには触れないほうがいいタイプの作品です。
あとショットが奇抜で面白いですね。
映画評論家・町山智浩さんも言ってましたけど、「なんでそこ映すんだよ!」ってショットが多くて面白い。人に殴りかかるシーンを、全体を俯瞰するように映さずに拳だけ映したりとか。カメラワークが独特かつ台詞が少なく余計な説明を省いた作品なので、かなり集中して見る必要があります。
クローズ・アップ
ものすごく見たかった作品です。アッバス・キアロスタミ監督の代表作ですね。
2年前ぐらいからすごく見たかったけど、廃盤かつレンタルされていなかったので見ることができなかった。梅田のTSUTAYA(もう潰れた)に置いてあるVHSをどうにかして借りようと思ってたけど、今回リリースされた。ほんとにありがたいです。
この監督といえば「友だちのうちはどこ?」が一番有名で、続いて「桜桃の味」とか「風が吹くまま」などの作品に続いていくイメージがあるけど、今回発売された「クローズ・アップ」はこれらの作品とは一線を画した代表作ってイメージがある。
「クローズ・アップ」あらすじ
テヘラン。自分は映画監督のモフセン・マフマルバフだと身分を偽った罪で逮捕されたサブジアン青年。彼に興味を持ったキアロスタミは刑務所へ面会に行き、被害者であるアハンカ家へのインタビューを行う。やがて裁判が始まり被害者はサブジアンが家族を騙して窃盗を計画していたと証言する。そして映画は再現場面へと切り替わる。なぜサブジアンはこのような詐欺を働いたのか?
再現ドキュメンタリーである。
自分を映画監督と偽った男が、偽った過程や騙す姿を再現する。
現実で起きたことが再現される虚構の映像、その中には普通に考えれば「それはないでしょ!」って思うような、明らかな虚構も現実で起こったことのように描かれているため、注意しながら見なければならない。
僕はいまだこの監督の作品は、さっき挙げた「桜桃の味」「風が吹くまま」しか見れていないけど(というかほとんど廃盤だからしょうがない)、この「クローズ・アップ」、二作に比べ一番良さのわかりやすい作品でしたよ。
この監督の作品は見終わったときや、見終わってストーリーの文字起こしとか見た時、「...で、何が伝えたかったんだ?」って思ってしまうような映画が多い。だがこの「クローズ・アップ」はものすごくわかりやすい。キアロスタミ入門として、かなりいい作品なんじゃないでしょうか。
あと、映像がめちゃくちゃキレイでしたね。リリース時によくネット通販サイトで出品されてた中古のVHS買ってみようかと思ったけどBlu-rayで見れてよかった。
IVCさんから出たキアロスタミ『クローズ・アップ』、権利元の意向でスタンダードだったものがビスタくらいのサイズになってるのはさておき、昔弊社が出していたDVDとは別物のクリアな画質に喫驚。キアロスタミは他の作品も一気に修復が進んでいるようだけど、これまでとは見方が変わってしまいそう。 pic.twitter.com/sZPwgrJZqR
— シネフィルDVD (@cinefilDVD) 2018年4月17日
ヴェロニカ・フォスのあこがれ
ヴェロニカ・フォスのあこがれ ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督 Blu-ray
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。
知る人ぞ知る天才監督で、映画評論家の柳下毅一郎さんは映画秘宝のオールタイム・ベストテン特集で自身のベストテンを全てこの監督の作品にしていた。しかし代表作はほとんどが廃盤。
IVCで発売されているものも何作品かあるっちゃあるが、TVシリーズばかりで、初めて見るにはちょっと毛色が違うようなものばかりだった。また全てレンタルされていない。
しかし今回、ファスビンダーの代表作が発売されることになった。
「ヴェロニカ・フォスのあこがれ」あらすじ
1955年、ミュンヘン。スポーツ記者のロベルト(ヒルマール・ターテ)は、どしゃ降りの雨の夜、茫然と濡れそぼっている女に出会った。若くはないが、妖しい雰囲気と端正な顔立ちが彼を惹きつけた。傘をさしかけ、一緒に電車に乗りこむ。他の乗客の視線に怯え、「私だということがわかるとまずいわ……」と呟く彼女にジャーナリストとしてのロベルトの好奇心が芽生えた。数日後、彼女からの電話を受け、恋人ヘンリエッタ(コーネリア・フロベス)をおいて約束のレストランに向かったロベルト。彼女の名はベロニカ・フォス(ローゼル・ツェッヒ)、映画女優であるという。彼女はロベルトから300マルクを借りると去っていった。同僚のグレーテによれば、ベロニカは戦前は大スターだったが、戦後は鳴かず飛ばずで、住所すら誰も知らないという。ロベルトはベロニカのふりまく謎の匂いに魅せられ、ベロニカを探し始める。
とりあえず見てみたら、映像がめちゃくちゃキレイ。というか、ショット完璧すぎるだろ!
これはもう衝撃的でしたね。映像が、びっくりするくらい美しい。画質の話じゃなくてショットの話。
画質ももちろんきれいなんですけどね。ここまでショットの美しいモノクロ映画は初めて見たかもしれない。
「なんでこんなに真っ白なんだよ!」とか「なんでこんなにコントラスト完璧なんだよ!」とかツッコミながら見てた。ググって写真見てみてもそこまできれいとは思わないけど、通しの映像で見るとめちゃくちゃきれいなんですよね。びっくりしました。
これから「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」「マリア・ブラウンの結婚」「不安と魂」「リリー・マルレーン」あたりもどんどんBlu-ray化していってほしいですね。
今んとこ、今年見た旧作の中で一番すごかった作品です。はやくこれらの代表作も見てみたいです。
まとめ
三作品ともおすすめです。映画ランキングに度々ランクインする傑作なのに、買わないと見れない作品なので、見てみてはいかがでしょう。特に「ヴェロニカ・フォスのあこがれ」はおすすめですよ!
ヴェロニカ・フォスのあこがれ ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督 Blu-ray