「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」
スピルバーグ初の実話もの痛快エンタメ

「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」<br>スピルバーグ初の実話もの痛快エンタメ

ペンタゴン・ペーパーズ

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面白かったです。シリアスものな割にかなりわかりやすいエンターテイメントでした。

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あらすじ

1971年、ベトナム戦争が泥沼化し、アメリカ国内には反戦の気運が高まっていた。国防総省はベトナム戦争について客観的に調査・分析する文書を作成していたが、戦争の長期化により、それは7000枚に及ぶ膨大な量に膨れあがっていた。
ある日、その文書が流出し、ニューヨーク・タイムズが内容の一部をスクープした。
ライバル紙のニューヨーク・タイムズに先を越され、ワシントン・ポストのトップでアメリカ主要新聞社史上初の女性発行人キャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)と編集主幹ベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)は、残りの文書を独自に入手し、全貌を公表しようと奔走する。真実を伝えたいという気持ちが彼らを駆り立てていた。

(公式より引用)

とりあえずこの作品を見る人は

ウォーターゲート事件を描いた「大統領の陰謀」を

見る前にしろ後にしろ見ておくべきだと思います。

来月NHKBSで放送されるようなので、

要録画です。

単純化された実話もの

スピルバーグといえば

「JAWS」「E.T.」などに代表されるファミリー向け作品や、

「シンドラーのリスト」や「ミュンヘン」に代表されるシリアスな実話ものが有名だが、

これらの作品とは全く違うタイプの作品だ。

このことについて、キネマ旬報の記事で黒沢清監督が述べていたことが、

とても印象に残っている。

黒沢監督は、スピルバーグ作品に関して

単純なSF錯綜した実話ものにジャンル分けできるものが多いと述べていた。

言われてみれば確かにそうだ。

「JAWS」や「ジュラシックパーク」などの作品はモンスターから逃げる系の映画、

「E.T.」や「未知との遭遇」はモンスターとされがちな宇宙人とのコンタクトを描いたが、

これらの作品は単純なSFである。

子どもが見てもわかりやすい。

対して「シンドラーのリスト」「ブリッジ・オブ・スパイ」などといった作品は錯綜とした実話ものだ。

単純明快ではなく、入り組んでいてシリアスだ。

だがスピルバーグは「錯綜としたSF」も2000年代前半に連発した。

「マイノリティ・リポート」や「宇宙戦争」などがそれだ。

しかし、いままで「単純な実話もの」をやっていなかった。

それを今回やってみたのではないかという黒沢監督の発言は正しいだろう。

おそろしく単純明快な社会派映画だった。

ニクソンを完全悪者として、

その顔は出てこず電話越しの姿しか見ることができない。

黒幕感あふれる演出がなされている。

今の日本とのリンク

むろん今の日本にとって最もタイムリーな社会派痛快エンタテイメントだ。

「フェイクニュースだ!」と新聞社を攻撃するトランプが大統領になった

今のアメリカを描いたかのような実話ものだったが、

日本でも全く同じようなことが起こった。

「哀れですね。惨めな言い訳。」

 

国会で惨めな言い訳をして、嘘八百を並べたててたのは

現政権だったわけだが、

佐川元長官が証人喚問で証言を拒否したことにより

勝手に財務省がやったことになっている。

財務省が勝手に改竄し、真相はわからないままなのに

なぜか与党では拍手喝采という

わけのわからない事態に陥った。

しかも隠蔽ではなく、改竄なのだから

この映画よりもヤバめな案件なのかもしれない。

 

そんなニュースが飛び交う今の日本を生きていたら

このことを思い出させるようなことがスクリーン上で次々と起こる。

なかでも僕が最も印象に残ったセリフは

「国がおかしなことをやっているんだったらそれを批判するのが愛国者だろう」

というもの。

あたりまえですよね。

陰謀論やデマを信じて、おかしなことやってる人を擁護してる人がかなり多いですけど。

今の日本に対して自分も全く同じことを思ってます。

ほんとにありのまま、今の日本の現状を描いたかのような作品でした。

 

※ラストシーン(ネタバレ)

この映画はどんよりとした気持ちで終わらせるのかと思いきや、

そうではなかった。

この映画のラストシーンは「大統領の陰謀」を彷彿とさせるようなつくりになっている。

警備員がビルを回っている。完全に「大統領の陰謀」につながる。

明らかに映画が終わりそうなこのシーンを見ながらずっと僕はニヤニヤしてた。

巨悪ニクソンを作内では倒すことができないが、いずれ倒すことができるのだ。

 

だけどこれは今の日本と同じなのかもしれない。

間違ってると思い、一人ひとりが行動しさえすれば、

いい方向に持っていけるのかもしれない。

これはスピルバーグがジャーナリストに贈るエールであるのはもちろん、

日本の「愛国者」に対するエールでもあるように思える。

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