
今年のアカデミー外国語映画賞受賞作。
全く予備知識を入れずに見たんだけど、これ、
何も知らない状態で見たほうがいいと思いますよ。
なのであらすじも載せません。
この作品は○○を描いたものだが、
その○○を知らないほうが楽しめるんじゃないかと思う。
ここで書いている○○とは、この映画の一番重要なテーマのことで、
この作品を紹介している記事には間違いなく書いている。
予告編でも言ってる。
だけど上映開始から「え?なんでなんだろう?」と思いながら見て、
考えながら鑑賞したほうが面白いんじゃないのか、って実際そうやって見た結果感じました。
開始2,30分頃に「あ!そういう話かこれ!」ってなったのが面白かった。
なので気になってる方はまず見てください。
おすすめです。
この映画の日本語タイトル「ナチュラルウーマン」とは
「ありのままの女性(人)」という意味ですけど、
「ありのままの女性(人)」とは何?
ありのまま。このフレーズで「アナと雪の女王」を思い出した人も少なくないのでは。
まあこれもヒントになりますよね。
これは○○についての話だが、見るからに○○と感じないのだ。
いろんな情報から「あれ?これ○○についての映画かもしれないな」と推測する。
今年のアカデミー賞で外国語映画賞を受賞したということもヒントになる。
※これからネタバレを含みます。リンクを貼っておくので、読む前に見ておくことをおすすめします。
○○
○○
...というのはセクシャルマイノリティのことで、
「男性として生まれたけれど内面は女性、かつ性転換手術をしていない状態の人」。
この作品の主人公は身体的性別が男性なのだ。
なぜあんなに恋人の家族に失礼な態度をとられるのか等、
不愉快になりながらも、いろいろなことを考えた結果その結論に達する。
チリのトランスジェンダー女優、ダニエラ・ヴェガがこの役を演じているが、
ビジュアル的にどちらともとれる。
こんな女性もいそうだし男性にもいそうなのだ。
警察官の言葉で「本名はダニエル」と発せられるまで、
いろんな伏線が張り巡らされているように感じた。
「彼」と書いている字幕に「誤字?」ってなったことも、
オープニングのイグアスの滝も伏線になっている。
字幕に関しては伏線じゃないかもしれないけど。
「ブエノスアイレス」
イグアスの滝のくだりは、同じようなテーマを描いた名作、
ウォン・カーウァイ監督の「ブエノスアイレス」を彷彿とさせる。
この作品もイグアスの滝を目指すゲイカップルの話なのだ。
そのため「ブエノスアイレス」を見ていればわかる伏線になっている。
評論記事を読んで知ったんですけど、
この作品いつか見なきゃなーって思ってたけど、
未だに見れてなくて気づかなかったです。
さっさと見とけばよかった...
ありのまま
この映画は愛する人を失い、
大勢から差別やいじめをされる地獄の日々を観客に味わわせる。
見ていてほんとにつらくなる。
最後の望みだった旅に行く願いもかなわない。
決死の思いで旅券をゲットしようとするが
ロッカーを開ければ暗闇。
「ブエノスアイレス」と同じように、その願いはかなわない。
しかしそれでも彼女は生きていく。
望みを持って、ありのままの姿で生きていく。
どんなに周りから蔑まれようと。
ありのままの姿で。
もの凄く考えさせられる作品でした。