「デトロイト」で描かれる現在のアメリカ

「デトロイト」で描かれる現在のアメリカ

「ハート・ロッカー」「ゼロ・ダーク・サーティ」などで

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有名なキャサリン・ビグローの最新作、

「デトロイト」が一月末に公開されたので、この前見に行った。

まず一言いいたい。

この映画は上映されているうちに絶対に映画館で見るべきだ。

社会派映画監督として知られ、

アカデミー監督賞を女性として初受賞。

元夫の作った強敵「アバター」を打ち負かし

作品賞も受賞したビグローだが、

彼女の映画はイラクやビンラディン暗殺など21世紀の話が多かった。

しかし今回のテーマは50年前の「デトロイト暴動」についてだ。

現代の戦争ばかり扱うビグローがなぜこの映画を撮ったのか。

50年の節目だからというのもあるが、実際見てみてわかった。

これはものすごくタイムリーな現代の話だ。

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あらすじ

1967年7月、暴動発生から3日目の夜、若い黒人客たちで賑わうアルジェ・モーテルに、銃声を聞いたとの通報を受けた大勢の警官と州兵が殺到した。そこで警官たちが、偶然モーテルに居合わせた若者へ暴力的な尋問を開始。やがて、それは異常な“死のゲーム”へと発展し、新たな惨劇を招き寄せていくのだった…。(公式サイトより引用)

50年前と現代

この映画で描かれていることは現在進行形で

アメリカで起きている黒人射殺事件を彷彿とさせるし

全世界で起きている移民排斥や

人種差別問題も考えさせる作品になっている。

微かないたずら心による報復が

更なる暴力を生むさま。

最近見た映画「ビジランテ」を思い出した。

アルジェ・モーテルで行われるデトロイト警察による尋問を

証言に基づいていい意味でジメジメ

と、長ーく演出している。

救いがありそうなところで突き落とすようなシーンもあり

ホラー映画のような描き方で尋問の恐怖を味わわせる。

「悪魔のいけにえ」以上の恐怖と町山智浩さんが言うのも頷ける。

初めて「悪魔のいけにえ」を見たとき

DVDの時間表示欄が気になって

劇場で味わうような恐怖を体験できなかった記憶がある。

ラストシーンもYouTubeのなんかの動画で見たことあったし。

ホラー映画の恐怖をなんの妨害もなく味わうには劇場で見ることだ。

なので本作を楽しむにはレンタルを待たず今、劇場に見に行くべきだ。

ギャップ

この作品の見どころのひとつに二人の俳優、

ジョン・ボイエガとウィル・ポールターのギャップがある。

スター・ウォーズ新シリーズでフィンを演じたジョン・ボイエガは

真面目な警備員を好演している。

スター・ウォーズではどこか頼りない役を演じた

ボイエガがもの凄くかっこいい。

見るからにおっかない白人自衛隊員がくれば

コーヒー片手に話をしに行く。

その姿はキング牧師などを彷彿とさせる。

対立するのでなく和解を目指す真のヒーローだ。

一方でウィル・ポールターは尋問をする

デトロイト警察のレイシストを演じる。

「メイズ・ランナー」での悪役が有名だが

この作品でも悪役を演じている。

劇中でBoyと呼ばれるがザ・青二才という感じの

ぴったりの無知によるレイシストだ。

個人的に「なんちゃって家族」の

あれがパンパンに膨れ上がる童貞のイメージが強かった

そのため「メイズ・ランナー」を見たときは

なかなか悪い役を演じていた記憶があるのだが

「うるせぇよ童貞が‼」

という感情しか沸かなかった。

しかし本作では全くそんなことを感じさせない演技をしている。

このポールターがやっている役が

上司からBoyと揶揄されるように

レイシストにはただ単に無知で浅薄な

子供のような人間が多い。

自分のほうが相手より優位だと思い込んでいたり

関わりのない人々にたいして

差別意識を持つ。

現代の日本を跋扈するネット右翼を

彷彿とさせる。

YouTubeとまとめサイトで仕入れた情報で

怖いもの知らずに左派知識人を罵倒する。

左派、マイノリティの中には

過激なやつもいれば穏健なやつもいる。

本作のボイエガのような

真面目に働いて、和解を志す在日韓国人などのマイノリティもいるが

過激な連中が目立って

思考停止しているネット右翼に一括りにされる。

そして

「中国から来たヤツは全員クズ」

「在日韓国人は全員死ね」

などと言って、少数派勢力の支配を恐れ

ヘイトスピーチをする。

少数派に日本を支配できるような

力があるわけないのに。

※次からちょっとネタバレするのでまだ見てない方はここでやめたほうがいいかもしれません。リンク貼っておきます。

尋問のその先で(ちょっとネタバレ)

尋問シーンが終わりもうそろそろ映画も終わりかなと思った矢先、

私は耐えられないような恐怖を味わった。

警備用の銃を持っているボイエガが

警官を殺した容疑者として尋問されるのだ。

この映画の真の恐怖は尋問のその先に待っている。

耐えて和解を志そうとした人の心まで挫くのだ。

終わりかと思った矢先この話はまだまだ続く、

救いのないエンディング(事実)に向かっていく。

これは今なお続くアメリカの問題だし

武装難民とかいうわけのわからない言葉で恐怖を煽ったり、

日本優生思想を掲げ韓国人を皆殺しにしろとか

言ってるやつらと仲良くしている連中が

国のトップにいる日本でも問題だ。

とりあえず安倍総理は「嘘八百」よりもまずこの映画を見るべきなんじゃなかろうか。

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